弘法大師の化身である金剛杖について

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お遍路に持っていく道具で重要なものの一つに金剛杖(こんごうづえ)があります。
ほとんどのものが長さ130センチほどの、木でできた杖です。

疲れにくいように、そして持ちやすいように面取り加工されていて、角が丸くなっているものが人気があります。


この金剛杖は、山歩きや日頃の歩く手助けとなる杖という意味ではなく、お遍路をするうえで重要な意味を持ちます。
ですから、みなさんトレッキングステッキや日頃使われているウォーキングステッキではなく、金剛杖を持つのです。

その重要な意味とは、この金剛杖は特に弘法大師の化身とされており、この杖を持つことによって弘法大師とともにお遍路道を旅するということなのです。
同行二人とはこのようなことから弘法大師と二人でいっしょにお遍路ということからきた言葉ですね。

では、もっと弘法大師の化身とされる金剛杖の説明を具体的にしたいと思います。

ほとんどの金剛杖には、「同行二人」や「南無大師遍照金剛」と書いてあります。
それらに加えて、その下に般若心経が書かれているものもあります。

そして杖の上部に五輪の塔をあらわした、「地水火風空」の梵字が書かれています。
これは、昔はお遍路さんが行き倒れて亡くなってしまった時に、この杖を卒塔婆代わりにして葬ったことからこのようにされています。
その書かれてある梵字の部分に手が触れるのは失礼だということで、隠すように布で出来たカバーが被せてあります。

※梵字(ぼんじ)はインドで使用されるブラーフミー文字の漢訳名のことです。ブラーフミーは「ブラフマン(梵)の創造した文字」を意味します。また、単に「梵語(サンスクリット)を表記するための文字」とも解されています。仏教、特に弘法大師や最澄が伝来させた密教と密接な結びつきがあります。

この布で隠さないお遍路さんを見ると、地元のお年寄りのかたなどは、「死んだまま歩いている」というそうですよ。

金剛杖を持つことで、寂しい道や険しい道を一人歩いている時でも、常に弘法大師と一緒に歩いているという安心感や一体感から、お遍路の心の支えだと感じている方も多くいます。

  この金剛杖は弘法大師の化身であるということからしきたりに基づいた取り扱い方、タブーがあり、梵字を隠すというようなことのほかにも、いろいろな注意が必要です。

次回では、祖の金剛杖についての取り扱い方、やってはいけないことなど知っておくべき必要最小限のことを説明しますので、じっくり読んで理解してくださいね。

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